表具師店長の日記

傷みの酷い屏風の修理をしました (前編)

 現在手掛けております屏風の修理について書かせて頂きます (^^)/

お声がけを頂いたのが、半年以上前の3月末でした・・・

お邪魔してみると、本紙には大きな穴が開き大きく欠損もしていました。

また ご自分で修理(?)されたらしく、ドロッとした糊が表にも溢れている所が数か所ありました (-_-;)

凡そ100年ほど前の屏風で、お婆さんが修理したいとずっと言っておられたらしく、糊入れもお婆さん

がされたそうです。

 

 


軽く触ってみると、表はどうもないのに 中の下張りが 「ボコッ」 と音を立てて破れました (T_T)

下地の組子も細く、下張りも悪い事から、下地から新調する事となりました (^^)v


下地の芯となる骨は、少し太めの 「上四(框が8分で組子が5分)」 で 「際子(きわこ)」 を呼ばれる

仕立てをお願いしました。

一般的な「上四」は 縦の組子が4本ほぼ均等に入るのですが、「際子」 とは 縦4本の内2本が 框寄り

に入っています。 屏風用に良く使う仕立てです (^^)v

因みに 普通の骨は 「並四」と言い 縦が3本です。

襖と違い、横ぶちを取り付ける為の釘を框の近くに打つから、少しでもその部分を強くしたいと言う思い

から框寄りに縦の骨を入れてもらうのです。

 

下張りの方法は、和紙二回蓑張り二枚受け掛け工法で行いました。

骨縛り・胴張り・蓑掛二回・蓑縛り・受け掛け二回 全部で片面に和紙を七枚張った後に本紙を納める

と言う かなりしっかりとした下地作りとなります (^^♪

      

       


下地作りが無事完了した後、本紙の修理に取り掛かりました

大きな破れがある上に、施主様ご自身で糊を入れられた為、本紙を捲るのが簡単には行かないとは

思っておりましたが、予想通り苦労しました・・・ (-_-;)

普通なら上張りの下には「受け」と言って薄い紙が一枚貼ってあります。

この紙は下地にベタっと引っ付いているのではなく、全体に浮く様に複数枚で掛けてあります。

その為 その紙に本紙を張り付ける事で、全体が下地より浮くようになるのです (^^)/

今回は施主様の糊入れの為、下地に引っ付いている部分があり、下地をカッター等で切り取らなくては

外れない状態でした・・・ (>_<)

 

 

ただ 大きな破れの裏の下の方から、「破れのパーツ」 が出て来たので、それをジグソーパズルの様に

はめ込んで修理をしていきました (^^)v

娘からは 「そんなんどうするの? 綺麗になるの?」 と聞かれましたが、修理を終わって見せると、

「凄いなぁ! 綺麗になってるやん! 職人やなぁ…」 と言ってもらえました \(^o^)/

   

まだ完成はしていませんが、途中経過を掲載しました (^^)v


2024/11/13 書く




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